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秋祭り「菊水祭」と秀郷伝統の流鏑馬。

 

 爽やかな空気が気持ちいい秋10月。今回は少し宇都宮の歴史のひとつを紐解いてみましょう。宇都宮の秋の楽しみといえば、二荒山神社の秋祭り「菊水祭」です。菊水祭は、二荒山神社の年に一度の例大祭:秋山祭の付祭で、1673年(寛文13年)から続いている歴史ある祭りで、重陽の節句(菊祭)に行うようになって菊水祭と呼ばれるようになりました。見どころの一つは、2日間にわたって行われる「鳳輦渡御」で、二荒山神社の祭神「豊城入彦命」(第10代崇神天皇皇子)を鳳輦とよばれる輿に乗せ、市内を渡御します。真っ赤な天狗の面を被って高下駄を履いた猿田彦が先頭を堂々と歩き、後を大榊、獅子頭、錦旗や宮司、町役などが続く時代絵巻になっています。そして、もう一つが二荒山神社前の広場で行われる流鏑馬です。古式姿の武者が、宇都宮中心街のビルの谷間で行う珍しい流鏑馬で、現代と古代が同時に感じられる壮観な神事です。流鏑馬が実戦的な弓術として確立したのは、下野国国司で最初の武士のひとりで、我ら栃木のヒーロー藤原秀郷を中心とする武士たちが、兵法の修練のため平安時代に始めたといわれています。藤原秀郷は文武に秀でた武士で、弓術や乗馬が得意で、その流れをくむ後の多くの武将たちによって騎馬弓術が洗練されて伝えられました。「吾妻鏡」には、鎌倉幕府の源頼朝も、秀郷の子孫である西行法師(佐藤義清)を館に招いて、秀郷流流鏑馬の諸式や弓馬故実の教えを受けたと記されています。菊水祭の流鏑馬を見て、遥か平安の歴史を感じてみるのも、また楽しいと思いませんか?


2019.10月

文 栃木の武将藤原秀郷をヒーローにする会 局長/岡田 康男

イラスト デザイナー/田代夏子

 

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