【歴史コラム】宇都宮と百人一首（2024年4月25日更新）
こんにちは。
栃木の武将『藤原秀郷』をヒーローにする会運営事務局の歴史好き、ともえです。
大大大ニュースがありましたね！
先日、宇都宮の誇る文化のひとつ ”百人一首” の選者としても有名な藤原定家直筆の文書、
『古今和歌集』の注釈書『顕注密勘（けんちゅうみっかん）』の原本が、
冷泉家の蔵に保管される「古今伝授箱」から発見されました…！
その史料的価値は国宝級。
ニュースを目にしたときは思わず二度見してしまいました。
令和の時代にも、まだこんなに大きな発見があるんですね。
今後の調査研究にも期待が膨らみます。
冷泉家（れいぜいけ）とは…？
冷泉家は歌人として名高い藤原俊成、定家父子を先祖に持ち、「和歌の家」として現代まで続く家系。定家の孫・為相から冷泉家を名乗った。
京都御所の北隣にある冷泉家住宅は、完全な姿で現存する唯一の公家屋敷として国の重要文化財に指定されている。
屋敷内には定家の日記『明月記』をはじめ、冷泉家伝来の典籍および古文書類数万点が保存されており、「古文書の正倉院」ともよばれている。
（参考）公益財団法人 冷泉家時雨亭文庫 HP
わたしが歴史を好きになったのも、小学生の頃に遊んだ百人一首がきっかけでした。
過去に生きた人々の色彩豊かな言葉と、現代にも通ずる情感。はたまた、今では想像も付かない文化など。
和歌の世界は知れば知るほど広がりがあって面白いです。改めて勉強してみたい気持ちになりました。
さて、導入が長くなりましたが、今回は宇都宮と百人一首をテーマに少しだけコラムを書いていきたいと思います。
百人一首の生みの親・宇都宮頼綱（蓮生：れんしょう）
さて、国宝級の史料を遺す当代随一の歌人藤原定家と親密な交流があったのが、栃木の武将・宇都宮氏第五代当主の宇都宮頼綱。28歳で出家し、蓮生と名乗ります。
京・鎌倉に並び三大歌壇と称される宇都宮歌壇の歌人で、彼の詠んだ歌は『新式和歌集』などに遺されています。
蓮生は歌人として定家に師事し、自身の婿として定家の嫡男（藤原為家）を迎えるほどその親交は深かったようです。
そして、蓮生が嵯峨に構えていた別荘「中院山荘（ちゅういんさんそう）」の障子に和歌を書いた色紙を飾るため、選歌を定家に依頼したことが『小倉百人一首』誕生のきっかけとなりました。
まさに、蓮生は百人一首の生みの親ともいえる存在ですね。
ちなみに、蓮生の弟・塩谷朝業も歌人として知られています。
御家人時代には、主君・源頼朝と和歌を通じた交流があり、寵愛を受けていました。頼朝の死を受けて出家した後は信生（しんしょう）と名乗り、兄・頼綱とともに宇都宮歌壇の創成に貢献しました。
宇都宮で百人一首を楽しもう！
このコラムを読んでくださっている方の中にも、小学生の頃に百人一首を覚えさせられたなあ、という方もいるのではないでしょうか。
宇都宮市では、例年秋に競技かるたの公式大会「蓮生記念全国競技かるた宇都宮大会」が開催されます。こちらは蓮生の名を冠した競技かるたの全国大会で、かるた会やかるた部に所属する選手たちの白熱した試合が繰り広げられます。
漫画『ちはやふる』などで競技かるたに興味を持った方は、一度生で試合を見てみると、よりその面白さを感じられるかもしれません。
また、同時期に市主催の「うつのみや百人一首市民大会」も開催されています。
こちらはかるた会や部活動に所属していない一般の人でもエントリー可能な大会で、
わたしも、昨年、一昨年と参加しました。（入賞もしました…！）
初心者の方でも大人からお子さんまで楽しめるイベントですので、機会があれば、地元の文化を体験してみてはいかがでしょうか。
おまけ
宇都宮からは離れますが、京都・嵯峨嵐山にある「嵯峨嵐山文華館」は百人一首好きの方にぜひおすすめしたいスポットです。
数年前に訪れたのですが、常設展示室の百人一首にまつわる歴史・史料の紹介や、歌人100人の模型の展示など、とても充実した内容でした。
和歌の英訳が紹介されているのも、個人的にはかなり面白かったです。
百人一首の誕生や歌人たちに思いを馳せながら、これからもさまざまなスポットや文化活動を楽しんでいきたいですね。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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↓宇都宮頼綱（蓮生）について詳しく知りたい方は、当会顧問水野先生のコラムをチェック
【第26話】「百人一首」成立に関わった宇都宮頼綱＝蓮生 スゴい財力と定家との絆(2022年12月27日 投稿）
