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【第4話】頼朝の父・義朝に殉じた悲劇の武将・鎌田正清 (2022年2月19日 投稿)



水野先生コラム:4回目

ライター:『小山殿の三兄弟』(ブイツーソリューション)、『藤原秀郷』(小学館スクウェア)著者・水野拓昌



小山氏の動向とは外れますが、平治の乱(1159年)で散った鎌田正清を紹介します。


鎌田氏も秀郷流藤原氏、藤原秀郷の子孫です。

正清は源義朝の側近中の側近、第一の忠臣。

名は「政清」とも、平治の乱の最中に改名して「政家」ともいわれています。




■敗走の義朝のために頼った舅が、まさかの裏切り


平治の乱で敗れた源義朝は再起を目指して小人数で東国に向かいます。

最後まで従う鎌田正清が「ひとまず、ここに……」と、尾張・内海(愛知県南部・知多半島)の長田忠致の屋敷に案内しました。


長田忠致は正清の舅で、源氏の家臣。

忠致は「正月三が日のお祝いを過ごしてから出発されてはいかがでしょう」と義朝一行をもてなします。舅のおかげで久々に温かな食事と酒、ゆっくり休める場所が用意され、正清は大いに面目を施したはずです。


ところが、正月3日、忠致は義朝に風呂を勧め、すきをみて、大柄な家来3人を使って義朝を討ちます。その騒ぎに正清は酒宴の座を飛び出しますが、忠致の息子・景致に膝を斬られ、「正清もおともに」と自害。舅一家の裏切りに遭い、主君・義朝と同年齢の38歳で生涯を終えました。


正清の妻は父の裏切りを激しく恨み、正清の刀を胸元にあて、夫の遺体に添い伏して後を追いました。


長田忠致、景致父子は義朝と正清の首を持って京へ行き、平家に褒美をもらおうとするわけですが、思惑通りにはいきません。その件はまた別の機会にでも……。








■保元の乱では義朝に父・為義処刑を進言



『平治物語』は源義朝の悲劇を強調し、鎌田正清に「預けた姫を殺してこい」と命じる場面もあります。


正清が館に行くと、姫は経を読んでおり、


「佐殿(源頼朝)は十三でも戦って父の供をして落ちる。私は十四になるが、それはできない。私を殺して父にお目にかけよ」


と悲壮な覚悟を示します。正清は刃を立てる場所も分からず涙に暮れますが、姫が「敵が迫ってきます」というので涙とともに刀を抜きます。姫は名前も出てきませんが、源氏のボスの娘である意味を分かっており、悲しくも見事な覚悟をみせるのです。


一途な忠臣、鎌田正清ですが、『保元物語』だと、描かれ方が少々違います。

保元の乱(1156年)で源義朝は父・源為義や弟たちを敵にして戦います。中でも為義八男の為朝は「鎮西八郎」の異名を持つ弓の名手で大男。正清は為朝に射かけて挑発し、為朝が襲いかかってくると、逃げ回りました。


「東国で数度のいくさを経験しているが、これほど、追ってくる馬の脚が騒がしく感じたことはない。ああ恐ろしい」


歴戦の勇士にしてはやや情けない場面です。


また、敵となった父・為義の処刑という厳しい命令に悩む義朝に対し、正清は「綸言汗のごとし(出た汗は戻らないし、天子の言葉も一度出たら撤回はない)」と諭します。主君・義朝を思っての言葉でしょうが、『保元物語』は、父殺しを進言した正清を批判的に描いています。


そして、詳細をはっきり話さず、為義を輿に乗せ、移動の途中に斬ってしまおうとして、同僚の波多野義通に咎められ、最後は斬ることができなくなって家来に任せる……というように、正清が醜態をさらす場面が連続します。



▼藤原氏の成り立ちが一目でわかる!藤原氏カンタン年表▼




■『源平盛衰記』『義経記』に登場する正清の子息


四条聖という僧がいました。しゃうもん坊(唱門坊? 正門坊?)とか少進坊とかいう呼称もあり、四条の御堂で修行し、四条聖と呼ばれました。四条の夏安居(げあんご、夏季集中修行)を放り出し、鞍馬寺の夏安居に参加。そして、皆が寝静まった夜、鞍馬寺の稚児をしている牛若丸(源義経)のもとに忍び寄るのです。


「これまで何もご存じなかったので平家打倒を思い立たれなかったのですか」

義経に出生の秘密を教えたのが四条聖であり、正体は鎌田正清の子・正近。ですが、この鎌田正近は『義経記』にしか登場しません。そして、平家に捕らえられて糾問され、白状せず、六条河原で斬られてしまいます。


一方、『源平盛衰記』には義経家臣に鎌田盛政、光政兄弟が登場。正清の子息です。盛政は一ノ谷、光政は屋島で戦死しますが、『平家物語』の同じ場面、この兄弟は登場しません。義経に深く関わる鎌田兄弟の実像は謎だらけです。




▼前回のコラムを見る▼
















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