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【会員寄稿コラム】栃木県は琉球王国の起源?①

2025年5月13日

栃木の武将『藤原秀郷』をヒーローにする会

会員 安延 嶺央



今回は当会会員の安延さんからコラムをご寄稿いただきました!

琉球の地名、風習、伝承などに、北関東、特に栃木県との共通点を見つけた安延さんの連載コラムです。


筆者プロフィール

安延 嶺央 (やすのぶ れお)


関東で育ち、関西で学び、沖縄に暮らしています。あるきっかけから歴史に関心を持ち、古代から中世の列島の歴史について調べるうちに、琉球王国には坂東武者が深く関わっていることを確信し、坂東武者について調べる中で坂東武士図鑑(※当HP)に巡り合いました。坂東武者と琉球の関係を綴っていきますのでよろしくお願いいたします。


▼ 「note」 でも栃木県と沖縄県をテーマにした記事を掲載中です





沖縄は「坂東武者」とつながっている?


突然ですが栃木県をはじめとする関東地方の皆様は沖縄についてどんなイメージをお持ちでしょうか?一度は行ってみたい南国リゾートでしょうか?独特の文化を持つ興味深い地域でしょうか?


沖縄といえば一般的に、『独自の歴史・文化。大局的には、西日本の仲間』と思われるところですが、私は、『独自の歴史・文化。大局的には、日本海・東シナ海の海の民と坂東武者の仲間』だと考えると、沖縄の文化、風習、言語、地名、伝承、民話…について、説明がつくように思っています。つまり、琉球とは海の民を坂東武者が束ね、その後独自発展していったものだ、と考えています。


突飛な話に思われるかもしれませんが、奈良時代から室町時代まで、江戸は小さな町に過ぎず、京都・大阪から東日本への主要幹線は東海道ではなく、東山道だったのです。そして、東山道は大阪湾への水運が可能な滋賀県の瀬田を起点として、現代の長野県から群馬県、栃木県、福島県、宮城県へと通っています。栃木県から西日本に行くにはまず東京に出て、新幹線か飛行機で…という現代の常識から少しだけ離れ、鎌倉時代の東国人の感覚になってみてください。下野国はむしろ京都・大阪に直結しているのです。


その上で、例えば伝説上の琉球王舜天が即位したのは1187年だとされていますが、その2年前には、壇ノ浦の戦いがあり、那須氏が備中荏原荘、つまり現在の岡山県井原市に恩賞を受けています。東山道で京都・大阪に通じる栃木県を本拠とする那須氏が、瀬戸内海沿岸に拠点を持ったのです。



星への信仰と沖縄の文化の共通点


また、平将門以来、坂東武者は妙見信仰、つまり北極星と北斗七星の信仰を持っていました。千葉氏が有名ですが、あの徳川家康公が祀られている日光東照宮の陽明門も参拝すると真上に北極星が来るよう作られているそうです。妙見信仰における聖数は北斗七星の星の数である「七」ですが、沖縄でも「七」の数字や北斗七星の例えはよく使用されます。「名護の七曲り」(カーブの多い道。日光いろは坂に似たイメージ?)や、今では行われない久高島の秘祭イザイホーの「七つ橋」「七つ屋」、沖縄本島東側の島々を北斗七星に例える、等々…。


沖縄にはニライカナイという他界・理想郷的な観念があります。これは、日本神話の「根の国」に通じるものであるとか、常世の国信仰であるとか、諸説あるところですが、私はこれも坂東武者の妙見信仰に関係して、「北極星・北斗七星」であると考えています。沖縄では北極星を「にぬふぁぶし」(子の方星)と呼びますが、「ニライ・カナイ」も、それぞれの後の「星」が省略され、「子の方(の星)・七夜(の星)」であると考えると意味が通るように思います。



栃木県と沖縄県の歴史的なつながり


他に、沖縄発祥の武術として知られる空手の源流も、坂東武者にあるかもしれません。このように、これまで沖縄独自のものとされていた謎の多くが、坂東武者が起源であると考えることで説明がつくように思うのです。私が調べたところでは、沖縄県内の地名や人名は、栃木県の那須烏山市、大田原市、矢板市、佐野市、小山市と共通のものが多くあり、特にこれらの地域と繋がりが深いと考えています。那須氏と藤原秀郷に関係する地域、また、東山道に沿った地域でもあります。


地球温暖化で全国的に猛暑に襲われる中でも比較的冷涼な気候に恵まれた緑豊かな那須の高原と、南の海に浮かぶ珊瑚礁の島。全く違う魅力を持つ2つの地域に、千年近く前からの繋がりがあるとは俄かには信じ難いかもしれませんが、今後、単に共通点の指摘に留まらず具体的に、何故、どのように結びつくのか、坂東武者の歴史を踏まえながら綴っていきたいと思いますので、お付き合い下されば幸いです。

そして、栃木県の魅力や坂東武者のスケールの大きな活躍が広く知られ、栃木県と沖縄県の親睦が少しでも深まればこれ以上の喜びはありません。宜しくお願いいたします。





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