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【会員寄稿コラム】東京・多摩に残る秀郷の痕跡③

  • 2025年12月27日
  • 読了時間: 4分

更新日:1月9日

2025年12月27日

栃木の武将『藤原秀郷』をヒーローにする会

会員 戸室 直隆




藤原秀郷をヒーローにする会の戸室と申します。戸室は下野佐野氏の庶流、藤原秀郷公の末裔の一人となります。今回は前回まで紹介した秀郷の痕跡が残る場所を分析し、藤原秀郷や平将門が多摩郡でどのような動きをしていたのかを振り返りたいと思います。



伝承から浮かび上がる秀郷の動き



前回まで色々な伝承を見てきましたが、多摩各地の伝承で藤原秀郷と平将門の登場をまとめると、次のようになります。


藤原秀郷と平将門の多摩各地の伝承の登場比較

※表示内の①は平将門討伐前、②は討伐後と推測される伝承



こうしてみると、藤原秀郷、平将門の両方登場する場合と、どちらか一方のみ登場する場合に分けられます。秀郷のみ登場するのは府中市とあきる野市、将門のみ登場するのは八王子市、青梅市、奥多摩町、両方登場するのは多摩市、羽村市、日の出町です。また、①は将門が存命中、②は将門の敗死後と推測される伝承に分けていますが、将門の存命中のだけでなく、将門が破れた後の伝承もあることが分かります。もしこれらの伝承が全て事実で、それぞれが登場する場所を経由しているのだとすると、藤原秀郷の平将門追撃の経路は、以下のような流れだったと考えられます。



  1. 相模国方面で敗走した将門が北進、武蔵国多摩郡に逃れ、秀郷がそれを追ってくる。この時に秀郷は関戸(多摩市)を経由し、将門が築いていた関所を「霞ノ関」と名付け、打ち破る。

  2. 秀郷はさらに西進し、二宮神社(あきる野市)と阿伎留神社(あきる野市)で戦勝祈願をする。

  3. 秀郷は阿伎留神社の北に位置する藤太橋に陣を構え、勝峰山(日の出町)に一夜城を築いた将門と合戦、不利になった将門が将門坂を経由し、北へ退散する。

  4. 逃亡先で将門が梅を植え、後に青梅の地名となる。また子の平良門が奥多摩方面に逃れ、後にその子孫が三田氏に、副将の藤原玄茂の子、万徳丸が力石に逃れて草木氏となり、それぞれの地で将門神社を創建する。

  5. 将門が寄進した阿蘇神社の社殿が戦で破壊され、荒廃する。

  6. その後両者は多摩郡から東進して常陸国に移動し、石井(坂東市)の「北山の決戦」で秀郷が将門を討ち取る。

  7. 武蔵国司を拝命した秀郷は、下野国との往来を考慮して武蔵国府の旧東山道武蔵路近くに居を構え、荒廃してしまった武蔵阿蘇神社(羽村市)に戻り、将門残党の帰順や秩序回復を図るため社殿を修繕、秋ごろに椎の木の手植えを行なった。

  


多摩郡での藤原秀郷と平将門の想定経路

(OpenStreetMapをベースにQGISで作成)


もしかしたら順番の前後する箇所もあるかもしれませんが、一連の流れとして、この中で矛盾する点はとりあえずないのではないでしょうか。


ところで、平将門討伐のもう1人の立役者である平貞盛は、多摩地域の伝承には全く出てきません。彼はどうしたのかという疑問が残ります。将門が新皇を自称した前後、貞盛は後ろ盾となっていた叔父の平良兼が939年(天慶2年)病没、将門から貞盛討伐の命が出され、身を隠していた時期と重なります。よって貞盛は多摩郡にはやって来ていなかったと考えられます。将門が常陸国に帰郷したのを知った貞盛が秀郷と協力したと伝わっているところを考えると、この時は伯父である秀郷とは、将門という共通の敵を持つ存在ではありつつも、まだ討伐連合を組んでいなかったのかもしれません。


私自身は多摩の出身ですが、両親までは多摩出身ではなく、少なくとも江戸時代くらい家系を遡っても多摩出身者はいません。その多摩の地に、約1100年以上前の先祖の痕跡がこんなに残っているとは、全く知らなかったので、なんとも不思議な気分になりました。


他の資料と詳細な時系列のチェックまではできていないので、よくよく調べると年代的な矛盾などが出てくるかもしれないですが、歴史にはまだ私達が知らない、というより忘れさってしまっていることが沢山あるのだと感じます。


それらを少しでも多く見つけ、出来るだけ多くの方に知っていただくことで、未来にも歴史の伝承や文化の継承をしていきたいと改めて感じた次第です。

郷土史を探ると、世間一般には知られていない意外な発見も多いので、皆さんもお住まいの地域の郷土史を、ぜひ一度調べ頂ける事をおすすめいたします。

また、今回挙げた以外にも秀郷に縁がある場所をご存知でしたら、ぜひ情報をお寄せくださいね!



参考文献

●高安寺 府中観光協会


●阿伎留神社 東京都神社庁


●二宮神社 東京都神社庁


●歴史の散歩道 関戸~寄り道 せいせきshop.com 桜ヶ丘商店会連合会


●将門神社


●武蔵 阿蘇神社のしおり 武蔵 阿蘇神社社務所編

●現地に掲示されている案内板等

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