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男子の憧れ、災いから守ってくれる兜:避来矢(ひらいし)

 


【男子の憧れ、災いから守ってくれる兜:避来矢(ひらいし)】


寒い冬が長かったせいか、急にやってきた!という感じの春4月です。


そんな春の風物詩、桜の見頃は意外に短く、気がつくと、もう新芽が美しい季節やゴールデンウィークがやってきて、四季の基準となる五節句のひとつ「端午の節句」の準備がはじまります。


端午の節句は、別名「菖蒲の節句」とも呼ばれ、「菖蒲=勝負」に掛けて、男子の誕生を祝い、健康で立身出世を願う祭りとして今も祝われている季節の催事で、武者装束を飾り、鯉のぼりを揚げて、柏餅を食べて健康を祈願します。


その武者飾りに飾られる鎧というと、一般的には鍬形飾りが付いたものや角などの脇立が付いた華やかな装束の兜を思い描きますが、歴史的に貴重な武芸由来の兜が、意外にも栃木県にあるのをご存知でしょうか?


それは唐澤山神社に伝わる「避来矢(ひらいし)」という兜です。

「避来矢」は、我らが栃木のヒーロー『藤原秀郷』が、近江の瀬田で百足退治の礼として龍宮の王からもらったという鎧兜で、この鎧兜を着用していると飛んでくる矢に当たらなかったという伝説の鎧兜のことで、後に、藤原秀郷の子孫である足利忠綱の宇治川の合戦での逸話も有名です。


代々下野国の藤原秀郷の子孫である佐野氏に伝えられましたが、江戸時代に火災に遭い兜鉢の金属部分のみが残っています。この兜鉢は、大鎧初期の形式を忠実に伝えている貴重なもので、明治になって唐澤山神社に移され、今でも大切に伝えられている国の重要文化財です。


子供の誕生を祝い、健康な成長を願う「端午の節句」を迎えるこの季節、歴史的な兜に想いを馳せ、遠い平安の武士たちの歴史を想像してみるのも楽しいとは思いませんか?


2022年4月1日

文 運営事務局 一般社団法人 武将伝説 専務理事:岡田 康男 イラスト/みやもとデザイナー:田口 義尚


 

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