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【第12話】野木宮合戦で唐突に登場する源範頼(2022年7月5日 投稿)




水野先生コラム:12回目

ライター:『鎌倉殿と不都合な御家人たち 「鎌倉殿」の周りに集まった面々は、トラブルメーカーばかり?』(まんがびと)『小山殿の三兄弟』(ブイツーソリューション)、『藤原秀郷』(小学館スクウェア)著者・水野拓昌



前回、野木宮合戦を取り上げましたが、源頼朝が関東を固める上で重要な戦いながらも、源平合戦を扱った小説、ドラマでもあまり取り上げられていないこともあって、一般的な知名度はあまり高くありません。これは少々悲しいものです。もっと関心を持ってもらいたいものです。





■時期も不明、謎だらけの野木宮合戦


いきなり、愚痴から始まってしまいました。

野木宮合戦が歴史ドラマ、歴史ファンにスルーされる一因としては、まず、頼朝本人が鎌倉にいたまま直接出兵していないこともあるでしょう。この後の源平合戦でも頼朝は鎌倉を動かず、その代わりに異母弟・源義経が華々しく活躍しますが、野木宮合戦では義経も登場しないので、いわゆるスター性のある武将の登場場面がないという欠点があります。

いわゆる地味なのです。 そして、何といっても、野木宮合戦が1181年(治承5年)なのか1183年(寿永2年)なのか、説が分かれていることが扱いにくい要因でしょう。

『吾妻鏡』には1181年閏2月のこととして書かれていますが、その後に、野木宮合戦について触れる場面では1183年のこととして説明されるため、『吾妻鏡』編集上のミスとして解釈されています。

1183年説が決定的に有力なのですが、ちょっと疑問はあります。

1181年閏2月は平清盛の死去の記事があり、編集上のミスに気付かないものなのかなあという疑問です。また、志田義広による常陸・鹿島神宮領侵略や、平家の有力家臣・藤原景高(秀郷流藤原氏の武士)、平重衡(清盛の五男)の東国への出陣、また、9月の足利俊綱(藤姓足利氏)の家臣の裏切りなど前後の記事も合わせて考えると、野木宮合戦を1181年とした方がスッキリと説明できるとも思います。




■範頼の武将デビューの影に小山氏?


さらに謎なのは、野木宮合戦での頼朝の異母弟・源範頼の登場の仕方です。 『吾妻鏡』(1181年閏2月23日)では参加した17将の最後に名が出てきますが、詳しい説明はなく、唐突な感じがあります。

頼朝の代理として出陣したとすれば、名目上の主将としてもう少し詳しい記述があってもいいものですが、そうではありません。小山朝政の弟・長沼宗政が鎌倉から野木宮に向かう場面がありながら、範頼の出陣場面はなく、名だけが記述されているのは鎌倉からの出陣ではないとも考えられます。

そもそも、源範頼はいつ頼朝麾下に加わったのか、史料からは分かりません。

異母弟の源義経には兄・頼朝との涙の対面の名場面(黄瀬川の対面)がありますが、源範頼にはそういった伝承はなく、小説やドラマでは、いつの間にか鎌倉にいて、いつの間にか頼朝配下に収まっているイメージではないでしょうか。

史料的に名が出てくるのは野木宮合戦からで、それ以前の足取りは分かっていないのです。そこで大胆に想像すれば、小山氏との関係はなかったのか、ということです。小山氏の力を背景に野木宮合戦で武将としてデビューしたのではないか ―― とも想像できるのですが……。




■頼朝異母弟・源範頼の前半生も謎


頼朝が伊豆で流人生活を送り、義経が鞍馬を脱出して奥州藤原氏の保護下にあった平家全盛期の間、源範頼はどうしていたのでしょうか。蒲冠者の異名通り、出生地の遠江・蒲御厨(静岡県浜松市)で甲斐源氏に匿われていたという話もよく聞きますが、何か史料的根拠か伝承があるのでしょうか。

出生地は平家の探索の手が伸びているでしょうし、甲斐源氏のうち遠江に影響力を持っていた者もいるでしょうが、その後、範頼との結びつきを感じさせる事がらは特にありません。

いずれにしても、範頼の養父となった貴族・藤原範季(藤原南家)との接点がないと、範頼保護には至らないはずです。1161年(応保元年)~1173年(承安3年)、藤原範季は常陸介、上野介を歴任しているので、ここで下野の有力武将に成長してきた小山政光との接点はなかったのか……と、これは想像でしかありませんが。



小山3兄弟は源平合戦では常に源範頼の部隊に所属し、活躍します。小山朝政が主導した野木宮合戦に小山氏と源範頼の関係の原点が垣間見えるかもしれません。









【次回のコラムも乞うご期待!】



▼前回【第11話】のコラムを見る▼

















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