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第 12 章

魔塔のいけにえ〈その3〉

 後ずさりしながら周りに目をやり、頭を高速で回転させるわたしの視界に、壊れた護摩壇の横に転がっている長い物体が入ってきた。
 これなら、使えるかも!
 それは、天馬が持っている刀の刃を収納するさや。わたしはサッと横に飛び退いてさやを手に取り、「相羽くん、これを!」と投げ渡した。
 さやは木製のようで、思っていたより軽い。長さは七、八十センチほどあるから、剣道が得意な彼なら、竹刀の代わりに役立ててくれるんじゃないかと思ったの。
「ありがとう!助かった!」
 受け取るなり、渉くんは刀みたいに、さやの口の部分を両手でにぎった。見ていて何の違和感もない、堂に入った所作だ。
 さやの先端を竜二の胸元に向け、人が変わったように突きさすような視線を向けている。
 二人の距離は、二メートルくらいしかない。
 瞬間たじろいだ竜二だったけれど、相手は子どもだと気を取り直したのか、ふいに大きく前に出てナイフで渉くんの胸をねらった。
 危ない!
 わたしが声にならない悲鳴をあげるのと、ひょいと横に移動した渉くんがさやで竜二の右手を強打するのはほぼ同時だった。
 「うぎゃ!」という竜二のかん高い声がして、ナイフが床に落ちる。
 右手の甲に左手を当て、苦痛に顔をしかめる竜二が、フラフラとした足取りで田宮の元に戻る。
「右手が……動かないっす……骨が折れたかも……」
「情けないやつだな!この出口をしっかり固めとけ!」
 今度は田宮が進み出る。
 渉くんは、剣ならぬ、さやを構える姿勢のまま、見とれているわたしの前に立つ。
 かっこいい!すっごくかっこいい!渉くんは、必死でわたしを守ろうとしてくれている。
 これって、王子様に守られてるお姫様のシチュエーション?事態の深刻さはなんにも変わっていないのに、ついそんな軽々しい空想にひたってしまった自分がはずかしい。でもわたしは、トウタが来てくれたことに加え、渉くんの勇ましい姿を目の当たりにして、いつしか大船に乗った気分になっていた。
 田宮は、来ていたスーツの上着を脱ぎ、腰に差していた道具を抜いた。
 それは、竜二のナイフより倍以上の大きさがあるサバイバルナイフだ。
 こんなぶっそうな物まで携帯してるなんて、とてもまともな連中じゃない。
 田宮は手慣れた身がまえでサバイバルナイフを渉くんに向け、近付いてくる。
「葉月さん、危ないからもっと下がって!」
 相手から目をそらさずに指示する渉くんに、わたしは「うん」と答え、後ろに行く。
 接近してきた田宮が、足を踏み出すふりをして何度もプレッシャーをかけようとするけど、渉くんは動じず、さやを構える姿勢をくずさない。
 これでは動揺させられないと知った田宮は、サバイバルナイフを大きく横に振っておどしつける。
 今度はわずかに背をそらせた渉くんも、足はほとんど動かさない。
 そこで田宮がまたしても前に出るふりをする、と見せかけて今度は本当に前へ飛び込んできた。サバイバルナイフは、渉くんのうでをねらって振り上げられる。
 たちどころにピョンと後ろにジャンプした渉くんは、同時に振りかぶったさやを目にもとまらぬ早わざで打ち下ろした。
 カキンと金属音がして、サバイバルナイフがたたき落とされる。
 渉くんの足は、着地するやいなや、今度は前に飛んだ。しかも、下ろした状態のさやを速やかに振り上げ、田宮の顔面を一撃した。
「ぐわっ!」
 田宮はたまらず顔を両手で防ぎ、転がるように竜二のいるドアまで引き下がる。
 わたしはためらうことなく前へ出て、床に放置されたナイフとサバイバルナイフを拾い、元の位置に戻った。こんな武器、自分では扱えないけど、置いたままにしておけばまたやつらに取り返されちゃう。
 それにしたって、渉くんの立ち回りは見事だった。さすがは剣道大会準優勝のうで前だ。
 改めて、渉くんの背中にほれぼれと見とれてしまう。
「葉月さん、ケガしてない?」
 渉くんが、チラッと後ろを見る。
「わたしは大丈夫!相羽くんのおかげで!」
 痛手を負い、さっきまでの威勢がすっかり消え失せた田宮と竜二は、ドアを背にしたまま天馬の方に目をやるやいなや、色を失った。
 つられて視線を移したわたしたちも、その光景に息をのむ。
 火だ!
 天馬は刀を振るい、まだトウタをつかまえようとしていた。
 タバコの箱をくわえたトウタはカーテンの上方にへばりつき、刀が届く高さまで下りてきては上がり、そしてまた横へ移りと、まるでもてあそぶかのように天馬を挑発し続けていたのだ。
 マジギレした天馬は刀を振り回し、時にはジャンプしてめったやたらにきりつける。すると、引き裂かれ、ちぎれたカーテンの一部が次々とカエルの置物の上に落ち、ロウソクの火が燃え移った。
 窓の下で上がった火の手は、丸い部屋の内周四分の一ほどにまで広がっている。
「会長、やめてください!」
「天馬さん、火です!火事になります!」
 それまで上ばかり見て夢中になっていた天馬も、田宮らの呼びかけでようやく我に返り、自分が引き起こした事態に目を白黒させた。
「田宮!奥山!火を消すのよ!消火器!消火器を!」
 部屋の中に消火器は見当たらない。田宮らは、ドアを開けて外のフロアへ探しに行く。ドアの向こうには、エレベーターの扉が見えている。
 わたしは渉くんと目で合図し合い、ドアに向かって逃げようとした。
 そうはさせまいと、天馬がドアの前まで駆け戻り、わたしたちに刀を向ける。
「あんたたちだけは逃がさないわよ!」
 さや一本で大人二人をぶちのめした渉くんも、対するのが日本刀となると、むやみに仕掛けられない。だって相手に届く距離が、ナイフより格段に長いんだもの。そして、当然ながらさやよりも。いくら剣道に強い渉くんでも、へたをすれば打ち込む前にきられてしまうかもしれない。
 そのうち、田宮と竜二が、それぞれ消火器を一本ずつかかえて、中に戻ってきた。
 二人は急いで窓際へ走り、白い消火剤を噴射させる。竜二は右手の痛みが消えないらしく、消火器を床に下ろし、左手でホースを持っている。
 だけど、この程度の消火器で消せるほど生やさしい状態ではなくなっていた。
 窓の下で燃えていた火は、カーテンのつながっている部分をつたってすでに上方へと、さらには左右へと燃え広がり、天井の一部からも煙が出始めていた。
 しかも部屋の真ん中では、壊された護摩壇の炉の上に、化けガラスが破り取ったカーテンがかぶさり、こちらからも出火している。
 広がり続ける炎が、ロウソクの代わりとなって室内をより明るく照らした。
「会長、どうにもなりません!」
「消火器はこの階に二本しかないんで、下の階まで行って取ってこないと!」
 火の勢いに押され、あたふたと天馬の元へ戻ってきた田宮と竜二は取り乱している。
「こんなんじゃ、もう手遅れよ。すぐ逃げましょ」
「このガキどもはどうするんです?刀のさやを持ってる男の方は、ちょっと面倒ですぜ」
 竜二が、右手の甲をさすりながら天馬にたずねる。
「この部屋に閉じ込めて、焼け死んでもらうわ」
「焼け跡からガキの死体が二つも出てきたら、やっかいなことになりませんか?」
「口さえ封じておけば、後で警察や消防から何を聞かれようが、何とでも言い逃れられるわよ。そのあたりの具体的なことは、いつも世話になっている弁護士にやらせればいいの!そのために毎月高いお金を出してるんだから。さあ、急ぎましょ!」
 部屋から出て行こうとする三人にくっついて、わたしたちも逃げようと進んだら、天馬が振り返りざま刀を二度、三度と振り回した。
 しかたなく、わたしたちは後ずさる。
 この時、真っ赤ないくつもの火の粉が、破れた窓から吹き込んできた風に乗って、天馬の着物にはり付いた。
 たちまち、袖や裾に火が燃え移り、炎が上がる。
「ちょっと!これ何よ!熱い、熱いじゃない!」
 半狂乱になった天馬は刀を放り出し、両手で燃える部分をはたきつつ、奇声を上げて外に飛び出していく。と同時に、ドアがバタンと閉じられた。
 わたしたちはドアに向かってダッシュし、渉くんがドアノブを回す。
 外からカギがかけられる特殊なタイプなのか、びくともしない。
 部屋のカーテンは全て燃え落ち、壁材のあちこちが熱で赤くなり、白い煙がふき出ている。天井の火は、全体の半分以上にまで広がっていた。
「天井が焼け落ちるわ!どうしよう!」
「その前に煙でまかれちゃうよ」
 ドアの前で行き場を失ったわたしたちの前に、トウタがはい出てきた。
「かような所でボーッとするな!わしらがぶち破った窓まで走れ!」
 トウタに導かれ、わたしたちは口と鼻を腕でおおいながら、うす暗い煙の中を一気に走り抜ける。
 化けガラスが破った窓ガラスは、高さが約四メートル、幅が二メートルほどあり、そこから室内の煙がもれ出ていく。
 煙は部屋の上方を流れていくので、わたしと渉くんはガラスの破片に気をつけながら四つんばいになり、窓枠から下を見る。
 地上からの高さは、十五メートル、いや二十メートルはあるだろう。
 柵も手すりもない高所から下を見たせいで、身がすくむ。
 ほどなく、後ろでガラガラっと何かが床に落ちる音がした。
 室内を振り返ると、火の勢いはますます強くなっている。視界が悪くなる中、天井に開いた大きな穴が目に飛び込んできた。
 とうとう天井が焼け落ち始めたんだ!時間がない。ぐずぐずしていたら、わたしたちは焼けこげになってしまう。
「どうやってここから逃げ出したらいいんだよ。こんなところから落ちたら、助かりっこないし……」
 あきらめ顔になった渉くんが、ポツリと言う。
「トウタ、化けガラスがいないのなら、ほかに脱出する方法は?」
 わたしの顔の横にいるトウタは、落ち着きはらって窓枠へと足を運ぶ。
「もちろんある。わしに任せておけ」
 そう言い、首を窓の外に出した。
「□△?Γ▼◎&☆α○★$×●……出でよ、大百足(おおむかで)!」
 大きく開けた口から、白い煙がふき出る。空中で細長く変形した煙は、一端が窓枠にくっついたかと思うと、ビルの外壁にへばりつくようにして下がっていく。
 窓枠にあるもやもやとした先端部が、次第に半透明の形を現す。
 それを間近で見た渉くんが、「わーーーっ!」と驚いて後ろにつんのめった。やっぱり、彼には魔物を見る力が備わっている。
 わたしも、危害を加えない生き物だと頭ではわかっていても、見た目が見た目だから思わずゾクリとする。
 だって、窓枠に現れたのは、丸くて大きな虫の顔!やや横に長いだ円形で、直径は七、八十センチもあるだろう。
 数十個の目が左右に分かれて集まっており、頭から二つの太くて長い触角が伸び、かまれたらとても無事ですみそうにない大きな二本のキバがわん曲に突き出ている。
 それでも、おそるおそる近寄ってこの顔の下を見ると、固そうで節のある長い胴に多数の足が等間隔にはえ、ビルの外壁にしっかりと取り付いていた。二またに分かれた尾は地上の駐車場にまで届いている。これが、トウタによってかつて退治されたというムカデの化け物!百々目鬼と化けガラスのほかに、もう一匹使役できると言ってた使い魔なんだ。
「ご主人様、お呼びで」
 大百足が、コーラスのバリトンの人みたいな低い男性の声でうかがいを立てる。
「ここにおる人の子たちを、火の海から逃さねばならぬ。お前の背中を貸してやってくれ」
「承知しました。いつでもどうぞ」
 トウタが、わたしたちを振り向く。
「聞いたとおりじゃ。今から大百足を実体化させ、ハシゴ代わりにしてお前たちには自力で下までおりてもらう。ムカデという生き物は、前にしか進めぬ。頭にまたがるにせよ、しがみつくにせよ、こいつにお前たちを運ばせるとなれば、直角に壁をはい下りることになろう。そんな危うい方法では、たちまち振り落とされるのがオチじゃ。向きを変え、尾の部分に乗って下へ移動させるとしても、不規則に揺れる垂直の尾部から真っ逆さまに落ちる危険性はさほど変わらぬ。となれば、大百足は動かさず、ハシゴ役をさせるのが最も安全じゃ。わしの言うたとおり、できるか?……できるな?」
 選択肢を許さない問い掛けに、わたしは一応コクリとしたけれど、渉くんは頭の整理がまだつかないらしく、つんのめったまま固まっている。
「相羽くん、このムカデの魔物もわたしたちの味方よ。トウタの子分、使い魔なの。だから、安心して!」
「そうなの?……わ、わかった……だ、大丈夫……」
 渉くんは息を整え、意を決して窓際に戻ってくる。
 トウタが大百足の頭の上に乗り、何かを念じるように目をつぶる。
 すると、半透明だった大百足の体が、くっきりはっきりと見えてきた。
「ほれ、さわってみい」
 トウタに促され、おっかなびっくりで手を出すと、大百足の固い触角が確かにふれた。
「よし、わかったら、急げ。こいつの背につかまって、少しずつ下りていけ!」
 そうは言われても、こんなに高い場所から、命づなも、手すりもない状態でビルの外に出るなんて、恐ろしくてなかなか思い切れない。
 それは、渉くんも同じらしく、窓際から顔を出してはるか下の地面と大百足を見比べながら、決断できずにいる。
「こりゃ、何をしておる!火が部屋全体を包んでしまうぞ!それに、そろそろ近所にいる者たちがこの火災に気付く。ちょうどこの位置は、窓のないビルの壁面ばかりに囲まれて死角になっておるが、外に出てきた野次馬どもに大百足の姿を見られれば、ややこしいことになる。それにわしもできうる限り煙を吸わぬように息を調整してきたが、これほどひどい火煙にまかれてしもうたら、またぞろ力が使えぬようになるかもしれん。早うせい!」
 部屋の中は炎と煙でなにも見えなくなっていて、やけどしそうな熱風が顔に当たる。これ以上、ここにはいられない。でも、この高さで……。
「先にぼくがいく!」
 渉くんがわたしの前に身を乗り出して、力強く告げた。
「相羽……くん」
「こんな時は、男のぼくが先にいかなくちゃ、でしょ?」
 わたしの返事を待たず、彼は大きく息を吸ってから、大百足の頭にまたがった。
 大百足は地面に着いている尾の部分をビルから遠ざけ、壁にそって直角になっていた体をややななめにする。わたしたちが落ちないようにだろう。
 かまぼこ状の節が連なる背中に抱きつき、一節下りた渉くんの顔が、窓際からぎりぎり見える。
「葉月さん、君も来るんだ!」
「う、うん……」
 そう返事はしたものの、体がなかなか言うことを聞かない。
「ぼくがそばにいるから!必ず守るから!」
 渉くんのひたむきな声に後押しされ、わたしは大百足の頭に手をかけた。
「そうじゃ、そのまま体を横にすべらせて、背中にまたがるのじゃ!」
 トウタに言われるがまま、思っていた以上に固く、ざらざらした背中に乗る。すべり止めマットに乗っかってるみたいな感覚。慎重に動けば、つるんと落っこちることはないかも。けれど、気が遠くなりそうだから、決して下は見ない。
 大百足は、わたしたちが少しでも下りやすいよう、またがっている個所の角度をさらにゆるく、階段のように節を曲げてくれている。
 胴体の節と節の谷間におしりを乗せるべく、体をずり下ろす。
 ところが、怖いのと、早く下りなきゃというあせりが相まって、手足の動きがおぼつかなくなり、バランスをくずしてしまった。
 しがみついたままの格好で、ずるずるっと下半身が横にすべる。
 助けて!
 体が数十センチくらいずり落ちたところで、おしりが何かに引っかかって止まった。
 薄目を開けておずおずとすぐ下を見ると、わたしのおしりをしっかりと受け止めていたのは、渉くんの両手だった。
 うそっ!!!
 あまりにはずかしくて、今すぐ消えてなくなってしまいたい!!!
 しゅう恥心で絶句しているわたしを気づかうように、渉くんは「葉月さん!」と呼びかけた。
「落ち着いて!下にはぼくがいるから、必ず受け止める。だから、もっとリラックスして!」
 わたしは深呼吸をし、手と足に力をこめて体を大百足の胴体に固定する。
「う……わかった……だから、もう手を放してくれて、いいかも……」
 消え入りそうに言うわたしに、渉くんも「あ、うん……ごめん」とばつが悪そうに両手を引っ込める。
「モタモタするでない!火が大きゅうなって、近くのマンションの窓に明かりがつきはじめたぞ」
 大百足がさらに下りやすいよう節を曲げてくれたおかげで、トウタにせっつかされながら、わたしたちはどうにかこうにか駐車場に下り立った。
 天馬ビルの七階は大きな炎に包まれ、黒い煙がふき出している。
 地面にはい下りてきた大百足の体は、もう半透明に戻っていた。
 わたしと渉くんは、緊張から解放されて、地面にへたり込む。
「こりゃ、ここで休んでおるヒマはないぞ!天馬たちは逃げた。追うのじゃ!」
 トウタが人みたいに二本足で立ち、前足をうで組みする。
「追うって言っても、行き先の見当なんてつかないわよ。そもそも何で逃げてるの?自分のビルが燃えてるのに……まさか、無人のビルにわたしたちが忍び込んで火遊びでもした、みたいな弁解をするつもりかしら?」
「それ、けっこう当たってるかも」
 わたしの推測に、渉くんは何度もうなずいて同調する。
「この後、あやつらがいかなる申し開きをするつもりかは知らぬが」
 そう前置きし、トウタは話を続けた。
「七階で火の粉をかぶり、天馬は大きなやけどを負っておる。とてもじっとはしておられぬだろう」
「なら、車で病院に行ったとか?」
 渉くんに対し、トウタは首を振る。
「車なら、そこにある。ビルに突入する前、タイヤを全てパンクさせておいた」
 竜二が運転していた黒のバンはすぐ目の前にあり、確かにどのタイヤも空気が抜けてふにゃ〜となっている。
「外に待機させていた百々目鬼が、天馬らの後をつけておる。どこに行ったかは、すぐに連絡が入るはず……」
 と、ここでトウタはしばらく沈黙し、再び口を開いた。
「ウワサをすれば何とやらじゃ。百々目鬼から念波で今、知らせが来た。やつらはここからすぐ近くを流れる神田川におる」
「神田川……そっか、やけどを水で冷やすため」
「うむ、相違ない。行くぞ!」
 わたしと渉くんは、気持ちを奮い起こして立ち上がった。
 散々な目にあわせてくれた天馬と、最後の決着をつけるために。

第12章〈その3〉挿絵
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